原始的積分法の提案。

11/9 一部修正。

 BVEで現実の路線を製作しようとすると、一番の難点はやはり膨大な取材を要することだと思います。そこで、よりやりやすく取材するための方法を考えてみました。従来の取材方法に併用する形で用いてくだされば幸いです。その名も原始的積分法です。積分の原理を利用していることから名づけましたが、積分と言うと、なんだか難しい計算が必要だというイメージが多いようですね。(実を言うと、僕は簡単な積分しかできません・・・)
しかし、ここでは、難しい計算は一切行わず、小学校高学年レベルの計算のみでできるようにしようと思います。積分は、寸分の狂いもない正確な値を調べる場合は、高度な計算が必要ですが、近似値を求める場合となると、計算は非常に簡単なものしか使いません。四則演算ができればOKです。ここで近似値を求めるとしたのは、近似値とはいえども、正確に計算すればある程度近い値が求められるはずだからです。
 この、原始的積分法を使うには、ビデオなどで録画する必要がありますが、そのさいにある1つのことをやらなければなりません。
それは、そのときどきの速度を記録することです。
とはいっても、ノートにいちいち書き込むようでは、書きづらいので、録画する機器に向けて「○○キロ」と言うだけでいいのです。なお、原始的積分法を行うには、出発からその速度を吹き込むまでの時間が分からないとだめですが、どのプレーヤーでも秒単位で時間が表示されるので、問題ないでしょう。とにかく、とりあえず、その時々の速度を吹き込めばいいのです。したがって、音声を同時に記録するようにしてください。
なお、その速度を吹き込む間隔は10秒以内が理想ですが、加減速中はより頻繁に吹き込んでください。(10km/hごとを目安にしてください)なお、平地を惰性で走行しているなど、加減速の変化が小さい場合は、多少間隔が開いても大丈夫ですが、正確性を極めるなら、とにかく頻繁に速度を記録したほうがいいでしょう。
また、このときと同時に制限速度を記録すれば一石二鳥です。ただ、列車の速度と混同しないように「制限○○」と言ったほうがいいでしょう。また、そのほかにも、路線製作に必要だったり、参考になったりしそう事項があればそのつど吹き込みましょう。(勾配、曲線など)
また、列車の加速度(低速域、高速域ともに)が分かっている場合は、そこまで神経質に記録する必要はありません(ただしノッチの切り替え時や勾配区間内など、車両の加速度の知識だけでは速度が推測できない部分は頻繁に記録しましょう)ので、車内放送を録って一石三鳥にすることもできます。もちろん、速度を吹き込んでない間の音を車両データに必要なモーター音や走行音などにしたりして一石四鳥にすることもできます。なお、先頭車がT車の場合は、モーター音は展望動画を録っていないときにM車で録ってください。
運がよければ少ない取材で製作が出来ます。
 動画を撮影した後は、いよいよパソコンに取り込みます。
このときに、その時々に吹き込んだ情報が参考になるのです。
このなかで、最も重要なのが、速度です。
速度を吹き込んどんな意味があるのか疑問に思う方も多いかと思いますが、これを利用すれば、距離が分かるのです。距離はBVEのなかで最も重要な情報です。停止位置から、駅の位置、さらには風景までどれを再現するにも距離が分からなければなりません。
そこで、ここからは、吹き込んだ速度から距離を割り出して見ましょう。
時間はプレーヤーに表示されるので、それを活用しましょう。
たとえば、時間表示が26秒のところで出発、31秒のところで10キロになったとしましょう。ただし、加速度は一定とします。では、ノートに
秒数 速度
26 0.0km/h
27 2.0km/h
28 4.0km/h
29 6.0km/h
30 8.0km/h
31 10.0km/h
と書き込みましょう。
では、ここで問題なのは、トルクが変動する場合です。
例として、時間表示が55秒のところで60キロ、62秒のところで70キロ、72秒のところで80キロになったとします。
すると60〜70キロの間の平均の加速度は時速1.4キロ毎秒、70〜80キロの間の平均の加速度は時速1.0キロ毎秒になります。
このとき、それぞれの中間値の速度をとると、65〜75キロの間は、加速度が時速1.4キロ毎秒から速度は時速1.0キロ毎秒に落ちる計算になります。では、この直線を延長させてノートに計算してみましょう。
秒数 速度  加速度
55 60.0km/h 1.6km/h/s
56 61.6 1.6
57 63.1 1.5
58 64.6 1.5
59 66.0 1.4
60 67.4 1.4
61 68.7 1.3
62 70.0 1.3
63 71.2 1.2
64 72.4 1.2
65 73.5 1.1
66 74.6 1.1
67 75.6 1.0
68 76.6 1.0
69 77.5 0.9
70 78.4 0.9
71 79.2 0.8
72 80.0 0.8
なお、加速度は、その前後の変化などにあわせて調整しましょう。寸分の狂いもなくやるよりは、前後の変化も参考にしたほうがいいでしょう。
また、ひずみが出た場合は、少しずつ値を変えてみるといいでしょう。
また、勾配区間に入ると、急に加減速度が変わるので、注意しましょう。
なお、このときに線路断面図があると便利です。それは、勾配によってどれだけ加減速度が変わるか分かるからです。また、勾配標があれば、どこで勾配が始まるか分かるのでよりいいでしょう。(勾配標自体は通常の形であれば、カメラの中に写りますのでわざわざ記録する必要はありません。)
その計算式は勾配(パーミル)÷27.78です。単位はkm/h/sです。登る場合は、その分だけマイナスに、また、下る場合はその分だけプラスに影響を受けます。なお、勾配区間に入ってもすぐに加速度が大きく変化するのではなく、上記の分だけ変化するのは最後尾が勾配区間になってからです。よって、その間の変化は、勘で考えるしかありません。
よって、かなり修正を重ねる作業なので、実際にはパソコンでやったほうがいいと思います。
でも、この作業はかなり面倒だと思いますので、パソコンでやる際に、簡単に行えるように支援ツールを作りました。
支援ツールのダウンロード

なお、Microsoft Excelを要しますのでご了承ください。
これにより、秒毎の加速度を入力するだけで、速度、起点からの距離を自動で求めることができます。
これで、計算は以上です。
では、ここからは、補足について説明します。
ちりが積もれば山となるということわざがあるように、この方法で路線を作っていくと、小さな誤差がたまって大きな誤差を生むことも考えられます。そこで、距離修正になるヒントを挙げてみます。
1、@動画を見て1キロポストがあればその他の欄に記録します。
     ↓
  A1キロポストと1キロポストの間(m)が1000の倍数に近くなるように調整します。
   これ以外にも1/2キロポストなどを使ってみるのもいいでしょう。なお、これが最も効果的な方法です。 

2、1駅ごとに起点からの距離を記している本があれば、それを参考にします。

3、2で挙げたような本がなかったら、時刻表という手もあります。100m単位でアバウトですが、長い距離で見たときの距離の修正に役に立ちます。 
ここでは、3つの方法を紹介しましたが、そのほかにも、いろいろ方法はあるかもしれませんので、自分で試して考えてみてください。。
これで説明を終わります。では、BVE製作をされるみなさん、ぜひがんばってください。